同電車の線路は阪急新花屋敷*1停留所北約半町*2のところから長尾山の同社前まで延長七百三十間*3ですべて中央部を舗装とし架空線は二本でポールが普通の電車よりズツと長く二台が擦れ違つたときに待避が出来るやうになってをり起点にはターンテーブルがあつて手軽に方向転換ができるやうになつてゐる、
電車は長さ十八尺*4、幅六尺*5で定員は二十八名、動力は阪急から供給を受け上りの所要時間は六分乃至六分半で下りは四分で足りる、この工費十二萬円で賃金は片道十銭往復１５銭
注
なほ温泉は分？？*6式の瀟洒な洋風木造二階建で建坪二百坪、
男女浴場を始め食堂、娯楽室等が備りほかに貸温泉もある、
遊園地は約二万坪あり子供本位の各種の運動器具が備はつてゐる、
これらの工費は十八萬円で入浴入場料大人十銭、小人五銭である、
會社では更に電車をこの温泉場前まで延長し、行く行くは更に多田神社を経て能勢電多田停留所に至る線路をも造り、なほ幼稚園や小学校も建てる希望を持ってゐる、
なほ開業式は来月五日に挙行すると・・・
*1：花屋敷の間違い
*2：４５ｍ
*3：１３２７ｍ
*4：５ｍ５０ｃｍ
*5：１ｍ８９ｃｍ
*6：判読不能